いつもの日常は、イベント続きで少し疲れていたセシリアの心を癒してくれた。
 こうしてアルヴィンと静かに過ごしているのが一番幸せだと、しみじみとそう思う。
 ダニーは学園を退学処分になったらしいが、実害を受けた者がいなかったことから、地方の領地で謹慎することになったようだ。
 本来なら反逆罪に問われ、貴族籍をはく奪されてもおかしくないほどの事件だ。
 それなのに王太子は、彼が追い詰められてしまったのは自分の責任だからと、謹慎ですませてくれるように懇願したらしい。
 悪い前例を作ったな、と言ったのはアルヴィンだったが、セシリアも同感だった。
 ここは王太子として、側近だろうが幼い頃からの友だろうが、公私混同したりせずにきっちりと罪を償わせるべきだった。
 優しいことは悪いことではないが、将来の国王としての素質が問われる場面で、彼は致命的な間違いを犯した。
 しかも、それを指摘して諫めてくれる者が周囲にいないということが、露見してしまったのだ。彼はこれから先、その間違いに気付き、挽回することができるだろうか。
 でも、あのときアレクを慰めずに送り返した自分には、関わりのないことだ。