彼の身体はひどく痩せていて、もう少し食べてほしいところだが、食もかなり細いようだ。
 アルヴィンも守護騎士となったからには、公爵家の騎士団に所属し、剣術を学ばなくてはならない。
 だが、今の状態で無理をしても身体を壊すだけだ。だからセシリアは彼を傍に置き、その間に少しでも体力をつけてほしいと思っている。
(とにかく食べる量が少ないのよね。うーん、もっと栄養があって食べやすいものはないかな……)
 前世の記憶を駆使して、セシリアは考える。
 どんな生活をしていたのか、彼は語ろうとしなかった。
 でも、今までは食事をもらえないこともあったらしく、アルヴィンは毎日食事をすることすら、慣れていない状態だ。
 セシリアは屋敷の図書室で料理の本を読みふけり、興味が出てきたから作ってみたいと言って、厨房に入り込んだ。
「たしかこの世界にも、お米はあったはず。柔らかく煮込んで、チーズリゾットにしてみたらどうかしら?」
 前世では、料理はわりと好きだった。
 材料は何でも揃っている公爵家の厨房で、セシリアは前世で慣れ親しんだ料理を作り、アルヴィンに食べさせた。