それを伝えようとしたが、警備兵が近寄ってきたので、アルヴィンの誘導通りにその背後に隠れる。被害者が公爵令嬢とその守護騎士であることもあって、警備兵は丁寧に事情を尋ねた。
 セシリアはアルヴィンの背後から、遠目から姿を見て怖いと思ったこと。裏門から入ろうとしたとき、彼と目が合ってしまい、そのあと急に追ってきたことをゆっくりと話した。
 さすがに襲撃された直後なので、彼らは護衛を申し出てきたが、セシリアはアルヴィンがいるから大丈夫だと断った。 
 警備兵たちはその話をさらに上に伝えるべく、去っていく。
「部屋に戻ろう」
 アルヴィンはそう言って、セシリアの手を取る。
「でも、授業は……」
 今日は初日なのだ。交流会に続いて欠席してしまうと、ますます行きにくくなってしまう。
 でも、おそらく今日の授業は中止になるだろうと言われて、納得する。
 さすがにこんな事件が起こったのだ。生徒たちの安全のためにも、今日はそれぞれの部屋で待機になるかもしれない。
 せっかく袖を通した制服も、すぐに着替えることになってしまった。