「……うん」
 セシリアは鏡の前に立ち、制服姿の自分を眺めていた。 学園の中では、身分や貴族同士の確執などを持ち込んではいけないという規則がある。そうはいっても実際は色々あるだろうと予想しているが、建前はそういうことになっている。
 だから学園の中では全員が平等だと示すように、同じ制服を着用することになっていた。
(でもこの制服って、乙女ゲームの主人公たちが着るから、やたらとかわいいのよね)
 制服というよりも、ゴスロリ系だ。
 丈の短い上着に、膨らんだ袖口にはたっぷりとレースが使われている。胸元にある大きなリボンは学年別に分けられているらしく、セシリアは赤だった。きゅっとしまった細い腰に、膨らんだスカート。スカート丈は動きやすさを考慮してか、ドレスよりは短めになっていた。
 もう一度鏡を見つめると、金色の巻き毛をした美少女が、にっこりと微笑んでいた。
(さすが悪役令嬢セシリア。見た目はなかなかよね)
 まさか、ゴスロリが似合う日が来るなんて思わなかった。
「セシリア、そろそろ行くぞ」
 アルヴィンに声を掛けられて、返事をして振り返る。
「うん、今行くわ」
 守護騎士は、学園でも守護騎士の制服を着用することになっている。