それにアルヴィンがセシリアの守護騎士になったのは、まだふたりが幼かったときのことだ。あの頃、まだアルヴィンは魔法が使えないことになっていた。
 だからこの魔法契約は、アルヴィンがセシリアと魔法学園に通うことを決めたあとに結ばれたことになる。
 きっと、予知夢で王太子と婚約し、最後には殺されてしまったと話したあとだ。
 セシリアが、誰が相手だろうと婚約を強要させられることがないように。
(わたしを守るために?)
 どうして父と、そんな契約を交わすことにしたのか。
 父はなぜ、危険を伴う魔法契約に応じてくれたのか。
 聞きたいことはたくさんあったが、彼らの目の前で、それを問いただすわけにはいかない。
 ちらりとアレクを見ると、彼はひどく困惑していた。
 王太子とはいえ、アレクもまだ学生の身だ。
 父である国王に言われたことを伝えただけで、要求が通らなかった場合のことは考えていなかったのだろう。
「ブランジーニ公爵家は、国王陛下の御命令に逆らうつもりなのか?」
 戸惑う主を手助けしようと、フィンがそう口を挟んだ。