むしろブランジーニ公爵家が王家に近い血筋だということが、安心ではなく疑惑を抱かせているのかもしれない。その父に加えて、娘の守護騎士は、王太子や王女に勝る魔力を持っている。
(国王陛下は、お父様のことを信じていないのね)
 無理もない、と娘であるセシリアでさえ思う。
 たとえば母が人質にでもなってしまったら、父は簡単にこの国を裏切るだろう。国どころか、兄や娘であるセシリアさえ簡単に切り捨てるかもしれない。
 でもそのせいで、アルヴィンの立場が危うくなっている。
 ブランジーニ公爵家が王家に逆心など抱いていないことを、どうやって示せばいいのだろう。
 セシリアはアルヴィンにしがみついたまま、必死に考えを巡らせる。 
 そんなセシリアに、アレクは申し訳なさそうな視線を向けていた。
 もしかしたら彼は、国王である父の命令に従っているだけなのかもしれない。
「一番良いのは、彼が特定の誰かの護衛騎士ではなく、国の魔導師団か騎士団に所属することだ。父は、あなたにその力にふさわしいだけの地位を与えると言っている」
「……そんな」
 アルヴィンが連れて行かれてしまう。