でも、セシリアの両親は他人にまったく興味がない。だからセシリアはお茶会を開催したことも、参加したこともなかった。
 しかも入学試験後の交流会では、ヒロインの存在にショックを受けて倒れてしまった。
 病弱で気弱な公爵令嬢だと思われているに違いない。
 さらに憂鬱なのは、ヒロインであるララリがセシリアと同じBクラスだったことだ。
(ヒロインはたしかAクラスだったはず。どうして今回はBなの?)
 Bクラスで、トップクラスの魔力を持つ王女殿下とライバルとか、あり得ない話だ。魔力はそれなりに強いはずなので、もしかして筆記試験ができなかったのかもしれない。
(去年男爵家に入ったばかりで、勉強する余裕はなかったのかもしれない。でもヒロインなんだから、もうちょっと頑張って……)
 それに、少しはゲームの知識も役立つのではないかと思っていたが、想定外のことばかり。どうしたらいいのかわからずに、戸惑っていた。
(しかもヒロインとはなるべく接触したくないのに、同じクラスだなんて……)
「セシリア。何を不安に思っている?」
 思い悩んでいるセシリアに、アルヴィンがそう声をかける。