「何を食べようかな。デザートも評判らしいの」
「そうか。今日はお祝いだからな。好きなものを何でも食べればいい」
「あんまり甘やかさないで。太ってしまうわ」
「そうなってもセシリアなら、かわいいと思うが」
 デザートは控えめにしようかな、と思うくらいの甘い言葉は、恋人同士を演じているからだろうか。赤くなった頬を冷ますように、片手でぱたぱたと顔を仰ぐ。
(もう、アルヴィンったら。本気を出しすぎよ)
 男性とあまり関わったことのない身としては、どうしたらいいのかわからなくなるときがある。
 それでも褒められると、やっぱり嬉しい。
 ようやく順番が回ってきて、店内に入ることができた。さりげなくエスコートされる。
 おすすめのパスタとドリンク、デザートのセットを頼む。アルヴィンは肉料理とスープのセットを頼んだようだ。
「わぁ、おいしそう」
 クリームソースのパスタに、アイスティー。デザートには苺のシフォンケーキ。どれもおいしくて、しあわせだった。
「アルヴィンのは、チキンのトマト煮込み?」
「ああ。食べるか?」