でもせっかく入学が決まって、あさってから授業も始まるのだ。
「ねえ、せっかくだから今日は外で夕食を食べない? 合格したお祝いよ」
 治安の良い王都では、貴族の令嬢も友人と買い物に出かけたりする。もちろん護衛と侍女は付き添うが、守護騎士とふたりならどちらも必要ない。普通の貴族ならありえないかもしれないが、なにせここは、恋愛ゲームの世界だ。わりと都合よくできている。
「別に構わないが、祝うようなことか?」
 そう言いながらも身体を起こしたアルヴィンに、もちろんだと笑う。
「だって、ひとりで入学するつもりだったのよ。三年間もふたりで一緒にいられるのは、とても嬉しいことだわ」
「……そうだな。お祝いをしようか」
 その言葉にふわりと柔らかく笑ったアルヴィンは、支度をするために自分の部屋に戻った。セシリアも町に出るのだから、もう少し動きやすい恰好をしなければならない。
 侍女の手を借りて着替えをする。
 動きやすいが、可愛らしいワンピース。
 金色の髪はラフにまとめて、花の形をした髪留めをつける。