「あの、すいません。今、本人も母もいなくて、お金がないんですけど」


そう言うと、男は明らかに不機嫌そうに不在連絡票を取り出し、サラサラと何かメモを書いた。


「じゃあ、これ、ご本人さんに渡してもらえますか?配達の希望時間、ここに連絡くれたらいいんで」

「あっ、はい、すいません」


すると、男は荷物を持ったまま「あざーしたぁー」と帰って行った。







リビングに戻りふと時計を見ると、もう12時だ。

いけない!

急がないと、午後の授業に間に合わない……



私はボンドが乾ききらない人形をリビングのテーブルに置いたまま、急いで家を出て学校へと向かった。