君と、サヨナラの恋


そういえば、初めに梶谷くんがあたしのことを間違えて「有希」って呼んだとき、どこかで聞いたことのある名前だと思ったんだけど……。どこだっけ。

しばらく考えていたら、突然にはっと閃いた。


「さっきから言ってる有希って、もしかしてうちのクラスの有希ちゃん?」

あたしは、細くて手足がすらっと長くて、黒目の割合の大きな瞳がいつもキラッと輝いている、可愛い系な美人のクラスメートの顔を思い浮かべていた。

あたしと有希ちゃんには出席番号が前後だという縁があって、仲良しグループは違うけれどよく話しかけてきてくれる。

気さくで誰にでも優しくて、いつもにこにこしている有希ちゃんは、女子のあたしから見ても本当に可愛い。

女の子に必要なあらゆる理想を寄せ集めたみたいな子だなーと常々思っていた。

有希ちゃんはクラスの中心になっている女の子たちのグループに入っていて、うちのクラスで女子人気の高い梶谷くんや久我山くんと仲がいい。

よく、教室で笑いながらじゃれ合ってる姿を見かけるけど。

まさか、有希ちゃんが梶谷くんとあんなことするためにここで待ち合わせをしてたなんて。

しかも、彼女でもないのに……?

笑顔の可愛い、いつもキラキラしている有希ちゃんが、そんなことするのが俄かに信じがたい。

でも……。