君と、サヨナラの恋


勢いよくカウチから立ち上がると、梶谷くんを押し退ける。

そのまま無視して立ち去ろうとしたら、手首をつかまれ引き止められた。


「ごめん」

振り返ったら、梶谷くんがさっきまでとは打って変わって、真面目な顔付きであたしを見つめていた。

叱られた子どもみたいな、情に訴えかけるような瞳で見つめられて、なぜだかあたしのほうが悪いことでもしたような気持ちになる。


「別に、ちゃんと謝ってくれるなら……」

ふざけてる人なのかと思ったら、ちゃんとそういう顔もできるんじゃない。

ぼそりと応えたら、梶谷くんがぱっと表情を変えて、人なっこい明るい笑みを浮かべた。

その笑顔に、不意打ちをくらって思わず胸がキュンとする。


まぁ。ほんのちょっとだけなら、レミや他の女の子たちが梶谷くんをかっこいいっていうのもわかる、かな……。

あたしの好みではないけど。

校庭で練習を続けている悠真を思いながら目を伏せる。