「ははは、、、ははは、、、。」
「やった!、、、やったぞ!!」
ウォルスが笑いだし、大声で歓喜を上げる。
「やったね!ははは。」
ルーホーも一緒になって喜ぶ。
だんだん小さくなる雲の国。
次第にこみ上げる思い。
「もう、、、戻れないんだね、、、。」 
ルーホーがつぶやく。
雲の国に恨みがあった訳ではない。
沢山の思い出もある。
そんな国との別れ。
「仕方ねぇよ、、、。俺らにはこうするしかなかった、、、。」
今まで明るかったウォルスも感傷にふける。

二人を乗せた雲はゆっくりと下降する。
「、、、まぁ終わったことはさておき。これからどうするよ?」
ウォルスがその場にドカッと座る。
「そうだね〜。まずは川の氾濫を止めないと。
その後は、、、」
ルーホーもウォルスの横に体操座りで座り
話し込む。
「ブルーに逢いに行くか!!初めが肝心だぞ!」
そう言われると、なんだか恥ずかしくてなってきて
顔を赤らめ誤魔化す。
「ぼ、僕の事はいいから!ウォルスはどうする!?」
そんなルーホーを見ると、気が病んで居た頃からの変化に嬉しくなり、
フッ!と笑うウォルス。
「そ〜だな〜。俺もやる事ね〜し。手伝うわ!」
「それよりお前の街ってどんな街!?酒とかうめ〜の??」

ウォルスの問いかけにルーホーは自慢げに答える。
「そりゃあもう!」
「ビール、ワインにウイスキー。それにジンは元々うちの国から始まったんだよ!」
キラキラした目で語り合う。
「マジかよ!飯は!!?」


こんな話で盛り上がっているその上空から迫る雲。
その影にウォルスが気付く。


「やべ〜!!追っ手だ!!」
焦る二人。
しかし、話に夢中で気付くのが遅すぎた。


雲に乗った追っ手は
二人目掛けて空気砲を発射!!


それが二人の雲に直撃。
「マジかよ!!」
雲は破裂するように分解され
二人は散り散りに空へ投げ出された。


高い上空から落下するウォルス。
「ヤベー!ヤベー!」
「このままだと地面に激突して死ぬ!!」
パタパタと服をたなびかせ
落下する空気の気圧に耐えながら
ウォルスは必死に何かを探す。
「よし!これだ!!」
ウォルスが見つけたのは
胸ポケットにしまってあった変装の時の仮面。
その雲に周辺の蒸気を急いで集める。

どんどん地上は近づく。

「フーっ!」
集めた蒸気に温かい息を吹き込み
さらに雲を膨らませるように増やしていく。
モコモコモコ。
何とか身体よりも大きく雲を膨らませたウォルスだったが、
もうすでに地面はすぐそこ!
乗る事も出来ず、
そのまま落下の勢いで地面に激突!!
雲がクッションになり、
ボヨン、ボヨン
と分解しながら弾み、

ズザササーっ
雲が尽きたウォルスは地面を擦るように転がる。
ウォルスが落ちたのは何もない荒野。
ある種荒野だから
ぶつかる物もなく雲の弾みで助かったのかもしれない。
高度10000mからのダイブしたのだ。
助かっているだけで不思議なのだ。
「、、、ルーホー。」
ウォルスは半身を起こすと
同じように落ちて行ったルーホーの消息を
心配し赤い空を見上げた。