「かわいい。俺のになって?」


俺のって……っ。

目の前にいるクラスの男の子、山田望生(やまだみお)君にそんなことを言われた。


「やめて、からかってるんでしょ?」


どうせ裏に友達が隠れてるんだ。

こんな時にまでそんな素直じゃないことを言ってしまうわたしは、馬鹿だ。


「そんな素直じゃないとこもかわいい、守りたいって思うし」


「べ、べつに素直だし!」


いや、素直じゃないだろ。

自分で自分にツッコミを入れた。

手を後ろで組んで、少しずつ彼に近づく。


「わたしは望生君が好きだけど」


これが私の本音かな……?

わたしはサラッと言ったけど、望生君の顔はリンゴみたいに真っ赤だ。

私だって負けてられないんだもん!


彩結(さゆ)……」


望生君が名前を呼んでくれた。

今まで『おい』とかだったのに……。


「起きて―――――………!」


へ………?

おき…、……?