——リナリアが咲く季節。四月。

南先輩と初めて出会ったときから、もうすぐ一年が経とうとしていた。

私は高校二年生になった。


朝、昇降口で靴を履き替えていると、ちょうど登校してきた先輩を見かけた。

すぐに駆け寄って話しかける。

「南先輩、おはようございます。委員会、何に入るか決めました?」

「おはよう菫ちゃん。もちろん美化委員に入るよ」

新学期が始まりクラスも変わって、係や委員会を決めなくてはならない。


「ですよね。じゃあ、私も美化委員にします!」

迷わず張り切ってそう答えた。

「菫ちゃん、自分の好きなことは大切にしなきゃだめだよ」


「えっ?」

真面目な顔でそう言われた。

……喜んでくれないの?先輩ひどい……

予想外のリアクションに戸惑う。