「ほら、おいで」



「どうして来たの〜っすぐ帰ってくるからお留守番しててって、ママいったよね?お兄ちゃんは?!」

「…ふぇっ…うぁぁぁん」



存在を確かめるようにミカの肩や頬に触れて、それから、ぎゅっと抱きしめた。

緊張の糸が切れたのだろう。

さっきまで控えめで大人しかったミカが、大粒の涙を流しながら、大きな声で泣いている。


……よかった…

ミカの母ちゃんの後ろに立っていた父ちゃんが、一歩前に出て、私に深く頭を下げた。



「ミカがご迷惑をおかけして…ほんとうにすみませんでした」

「いえっ、無事に会えてよかったですっ」



ミカの母ちゃんも、慌てて私に頭を下げた。

周りは「何が起こったんだ」と言わんばかりにこちらに視線を向けている。

これじゃぁ二人がなにか悪いことをしたかのように見えてしまう。



「わたし、ここのショッピングモールに来る予定だったので、ぜんぜん!ミカとお話できて楽しかった…すごく元気もらいましたっ」



ショッピングモールに来る予定なんてなかったけれど、とっさにウソをついてしまった。

だってミカと出会えたこと、ぜんぜん迷惑なんかじゃない。

嬉しい。


だから、そんな顔しないでほしい。


私の言葉を聞いて気が抜けたのか、ミカの母ちゃんと父ちゃんは、ふっと表情をやわらげてくれた。


あっよかった……笑ってくれた。



「もうすぐイルミネーション点灯しますーーイベント開始まであと10秒ー」