12月24日。家族がいた頃は幸せな日だった。お母さんの料理に、お父さんがいつもプレゼントをくれた。みんなでケーキを食べながらささやかだけど幸せで楽しい思い出。もう二度とあんなクリスマスは過ごせない・・・。

 私はさみしくなって亡くなった母のiPodを聞いていた。音楽の好きな母は毎週のようにCDをレンタルしてきては車とiPodに入れてよく歌っていた。

 叔父さんと叔母さんがホテルに午前中行って、家には私と圭兄だけになった。

 この家に来て何ヶ月もたったけど圭兄と二人っきりになることはなかなかなかった。

 しばらくして圭兄が部屋に来て「昼ご飯オレも作るよ。いつも小春にばっかりさせてて申し訳ないし。」って言ってくれた。

 冷蔵庫の中を見てお昼のメニューはオムライスになった。

 なんでもできる圭兄は実は料理をほとんどしたことなかった。だから私がいろいろ教えたりして二人でわいわい作った。

 味もおいしいし、圭兄がオムライスに顔を描いてくれたりして、すごく楽しい昼食だった。何より圭兄が私のことを気遣ってくれたのもうれしかったし、圭兄のいろんな姿が見れて嬉しかった。
 
 ご飯を食べてると圭兄が「今日この後用事ある?なかったらイオンに買い物に行こうや」って言ってきた。

 「うん、いいよ。着替えるから待ってて」って言ってバタバタと部屋に戻った。私はドキドキしていた。だって、それってデートじゃん! 悩みながらお気に入りの「レストローズ」の薔薇柄のスカートに白のタートルを合わせて、黒の丈の短いフリルのジャケットを着た。髪は二つ結びの編み込みにした。

 圭兄も着替えていた。落ち着いた感じのシャツにジャケットを合わせていた。高校生になって圭兄はどんどん身長が伸びて155センチしかない私とはだいぶ身長差があった。

 そして私たちはクリスマスイブの街に出かけて行った。