冬らしい寒い風が吹きすさぶ。まるで私の心みたい。でもその中にあったかい気持ちが生まれた。それは「圭兄が好き」という恋心。それは私の宝物。だから大事に大事にそっと閉まっておきたかった。

 叔父と叔母は病院を経営していてお金持ちだ。まただからこそ忙しい。だから家事はほとんど私がすることになった。

 忙しくしんどい家事の中で一つだけうれしいことは圭兄のお弁当を私が作れるということ。

 それで、圭兄の好きな食べ物を知ることができた。例えば一番好きなのはからあげで、2番目に好きな卵焼きは砂糖を入れたあまいのが好きなこととか。

 恋って不思議。ちょっとでも相手のことを知りたいし、知るとうれしいの。からっぽのお弁当箱が返ってくるのがすごくうれしいし、圭兄は弁当箱を流しに出すとき必ず「ありがとう。おいしかったよ。」と言ってくれる。

 後で知ったけど、私が来る前は弁当はもちろん夜ご飯もコンビニやお総菜が多かったそうだ。

 中学では相変わらずひとりぼっちだった。でも大丈夫。私には勉強があるから。それに休み時間や昼休みだって本を読んでいたらいいんだもの。

 そうしているうちにクリスマスが近づいてきた。

 私は圭兄にプレゼントしたいなって思うようになっていた。