夜が明けぬなら、いっそ。





だとしてもお前は父さんの名前を知っていた。だから少しでも関わったことはあるんじゃないかと。

ただ、今はもう何が真実なのか私にも分からない状況だった。



「───…もう、やめるか」


「え…?」


「そいつを殺したところで何になる。…お前も言ってただろ、間違いと見られることが結果として誰かを救うこともあるって」



もし本当に父さんが私を売ろうとして、こんな場所に関わりを持っていたのだとしたら。

その暗殺者は私を救ったということになる。

父さんが殺されなかったら、私は今頃、こうして生きていたかも分からないのだから。


その暗殺者はもしかして、子供だった私を救おうとして父さんをやむを得ず殺したんじゃないか。

……なんて、考えすぎか。



「小雪、なら俺と夫婦(めおと)になってくれないか」


「…………は?」


「夫婦になってくれ。頼む」



聞こえなかったんじゃない。

ちゃんと聞こえていた、聞こえた上で聞き返したんだ阿保。


なにを言ってるんだこいつは。
空気を読むということが出来ないのか。

そもそも夫婦ってなんだ、なぜそんな話になった。