それよりも俺は、さっき初めて見た笑顔の方が気がかりだ。
君はあんなふうに笑うことが出来たんだと。
その顔は人斬りだなんて連想させることすら出来ない、かわいい女の子だった。
もう1度見たい…なんて。
けどそれを見てしまったなら、こんな状況でどうなってしまうか保証は出来ない。
「小雪、一緒に寝よう。お前の体調面も俺は心配なんだよ」
「…だから、駄目だ」
「どうして?昨日までも一応は並んで寝ていたじゃないか」
「…探るな。それをするなと言ったのはお前だろう」
おっと、返されてしまった。
けれど離れて寝るつもりは無かった。
無理矢理にも俺は一緒に寝るつもりだ。
前のように吐血したらすぐ気づいてやれるし、熱を出したなら看病してやれる。
昼間あんな話を佐吉から聞いてしまったからこそ、余計にだ。
「身体は?今は苦しくないの?」
「…大丈夫だ。常に微熱はあるが、どうってことない」
この子を抱き締めると、確かにいつも温かかった。
それは人のぬくもりというものだろうと思っていたけれど、それ以上に熱いな…と感じてしまう違和感もあって。



