夜が明けぬなら、いっそ。





「っ…、っ、」



確かに遅かれ早かれ、放っておけば私は死ぬ。

それまで人斬りとして生きるか、せめて普通の暮らしをしてみるかのどちらかの選択。

それしかない。


だけど私にとって一番の幸せは、お前とこうして最後まで居られたら別にいい…なんて。

そんなふうに思っていた。



「…いつから、労咳だと知っていたの?」


「……1年以上は前だ」


「…そう」



最初は軽い咳だけだったから、そこまで気にはしていなかった。

それでも自分の身体というのは自分が一番よく知ってしまうから。


これは風邪ではないんだと、薄々感じるようになって。

だけど仇を討つまでは死ねないと、なんとか考えないようにして生きていた。



「小雪、…もうすぐ秋だ。それが過ぎると冬が来るよ」


「…雪……また、見れると思うか」



強まる腕の力。

しばらくすると、そっと緩まった。



「…俺が見せてあげよう」


「っ、」



くいっと振り向かせられるように手が添えられて、強張った身体を溶かしてくる熱。

ちゅっと弾けた1つ。



「ん…っ、」