夜が明けぬなら、いっそ。





「いけないよ、そんなこと言ったら。俺のような男が一番に危ないんだから」


「…私を、殺すの…?」


「…それは絶対にない、俺は君だけは何があっても殺さない。…逆はあるかもしれないけれどね」


「ふっ、ないよ。あるわけない」



今なら私だって出来る気がした。

そいつも離すつもりは無いらしいし、どこか平和な空気が流れていたから。



「駄目だ小雪。俺の背中には腕を回すな」


「……」



けれど、その動きは彼の声によって止めさせられてしまった。

柔らかい雰囲気もガラッと変わってしまって、私の笑顔も凍ってしまったみたいで。



「───…やっぱり、私は駄目か。血に汚れているからな…悪い、また浮かれていたらしい」


「…違うんだ、そうではない」


「いや、いい。だから私の役も他の女にやってもらえ。私はやめる」


「小雪、これはお前でなければ駄目なんだ」



馬鹿馬鹿しく思えた。

女の格好をして、口調まで女にして、慣れないことばかりをして刀は端に置いて。

そんな自分に気持ち悪いくらい気分が良くて、浮かれた結果で落とされた今。


…数馬だったか、その時と同じじゃないか。