そう震える声でつぶやいたと同時、そのまま男の顔は私に影を覆うように寄って。
背中に回った空いている方の手が力強く引き寄せてくる。
「わっ、」
「小雪、俺その声すごく好きだ」
「……びっくりすると出てしまうから、これは仕方ないよ」
そんなふうに返してみれば、ぎゅうっと力は加わった。
苦しいけど、この苦しさなら嫌じゃない。
この男なら平気だ。
それはこの男だから、平気なんだ。
「…それはもっと聞きたくなるな」
「ど、どういう意味なの、」
「…出させたくなるってこと」
「っ、」
ピクッと肩が震えた。
鼓膜が震えてしまうくらい甘い声は、確かに良く知る景秀のもののはずなのに。
全然知らない声にも聞こえた。
「出させたくなるって、どうやって、」
「…小雪、まったくお前は探りすぎだよ。けれど今のそれは…前とは意味が違う」
すりっと頬を寄せてみる。
ゆっくり髪を撫でるようにぎこちない動きで支えてくれる手。
この男は女に慣れていそうで、実際はそうじゃない。
私に触れるときはいつも硝子細工に触るかのように繊細な動きだった。



