それはいきなりのことだった。
人事異動で、26歳の山田 (いつき)が営業部にやってきた。背はそれほど高くはないが175㎝位はある。そしておしゃれ上手なメガネ男子だった。
今日子の課の隣、営業3課、紳士雑貨の担当が彼の仕事場となった。山田は仕事ができた。ポイントを押さえており、持ち前の人懐っこさでお客様からも可愛がられた。
今日子から良くみえる席なので、今日子はたまに見ていた。仕事が出来ないと男として認めない今日子は、山田のことをちょっと弱いがまぁまぁね。と認めていた。山田の良いところは、気遣いが出来ること。この私にも・・。
山田は、・・・鳴海課長がお使いのノートいいですね。・・・時計素敵ですね。・・・そのバックはどこのですか? などいつも何か話題を探して話しかけてくる。たまに、・・・お疲れみたいですけど大丈夫ですか? と言ってもくれる。ちょっとしたことだけどうれしい。うれしくないわけがない。特にこんなお局のオバさんには響くのだ。
だからつい、山田を目で追ってしまう・・・