あなたを愛しています

学からの連絡は、結局なく、私からも出来ないまま夕方に。お夕飯の買い物に出た私は


(何にしようかな・・・?)


売場をぶらつきながら、目についた物、そしてその価格とお財布の中身と相談しながら、今晩の献立に頭を悩ませていた。まさに主婦の宿命である。


そんな私の脳裏に、ふとまた1つの思い出が甦って来た。


前にも、やっぱり学の出掛けに、ケンカしてしまったことがあった。この時は本当に頭にきて、すぐに家を飛び出し、夢中で独身時代から行きつけのデパ-トに飛び込んだ。


結婚してからは、慎んでいた衝動買いをして、お昼にちょっと贅沢して(念のため、言っときますけど、全部独身時代の自分の貯金から出しました、はい・・・。)、ブラブラとしながら、気が付けば夕方に。


(だれがあんな奴に夕飯なんか作ってやるか。絶対に向こうから謝るまで、許さないんだから。)


心の中で息巻いてみたが、結局なんとなく、後ろめたくて、帰宅の途に着いた。自宅の最寄り駅に着いて、でもどうしても食事を作る気になれなかった私は、仕方なく帰り道のスーパ-で適当に惣菜を買い込んで、家に戻った。


やがて学も帰宅。「ただいま」も「おかえり」もなく、着換えて憮然とした表情で、食卓に着いた学の前に、私は無言のまま、皿に移し替えたスーパ-の惣菜を、やや乱暴な手つきで並べた。


並んだ料理を見ながら、でも学は箸を手に取ろうとしない。


(なに?スーパ-の惣菜を出したからって、なんか文句あるの?)


心の中で、すっかり戦闘モードになった私の耳に


「瞳・・・ありがとう。」


という全く予期しなかった学の言葉が聞こえて来た。


「えっ?」


驚く私に


「仲直りしようと思って、こんな俺の好物ばっかり、作ってくれたんだろ?」


と済まなそうな表情で学は言う。えっ、えっ・・・すっかり動揺した私が、改めて食卓を眺めると、確かに並んでいるのは、学の好きなものばかり。どうやら無意識のうちに、そればかり選んでいたらしい。


言葉を失う私に


「今朝は俺が悪かった、瞳の言う通りだよ。わかってたんだけど、素直になれなくてさ・・・。本当にごめんな。」


そう言って頭を下げる学。よもやの展開・・・さすがにこの状況で、これ全部出来合いの物だからとは、言い出しかねて


「ううん、私の方も悪かったんだよ。あんな言い方したら誰だって腹が立つのが当たり前だよ。学、ごめんなさい。」


なんて、しおらしく言うしかなくなっちゃった・・・。