「ねぇ、僕にはなんでパパがいないの?」
先日、倫が恐れていた言葉を口にした。周りを見ていれば、当然抱く疑問。彼が喋り始めてから、まだそんなに経っていないけど、きっと彼は生まれてから、ずっと聞きたくてウズウズしていたに違いない。
「パパは今、どこにいるの?」
無邪気に、でも真っ直ぐに聞いて来た息子の顔を見て、私は一瞬言葉に詰まった。必ず来る時だと覚悟も想定もしていたはずなのに・・・。
「パパは、倫のパパはね、お星さまになったの。だから凄く遠い所にいるんだ。でも、倫のことをいつも見守ってくれてるんだよ。」
結局、そんな言葉しか出て来なかった。
「ふ〜ん。」
わかったようなわからないような顔で倫は頷くと、でもそれ以上のことは聞いて来なかった。「なんで?」とも、「じゃいつ会えるの?」とも・・・。
ひょっとしたら、幼心にこれ以上聞いてはいけないと思ったのかもしれない。私は思わず倫を抱き上げ、強く抱きしめていた。
私から夫を、倫から父親を奪った男の裁判は、今も続いている。
殺人罪を適用したい検察側と、危険運転致死傷罪を主張する弁護側が真っ向から対立して、結審までにはまだ時間が掛かりそうだ。
死刑になりたくて犯行に及んだと、当時うそぶいていたはずの男は今、生への執着を露わにして、弁護士の影に隠れて、何も言わない。そして、法に守られてぬくぬくと生きている。
何という理不尽極まりない現実。このことを思うと、私の身体は持って行きようのない怒りと感情で張り裂けそうになる。
あの事件は今でもマスコミに取り上げられることがあり、被害者の遺族の中には彼らの取材に積極的に応じ、裁判の節目には記者会見をしている人たちがいるが、私は一線を画して、一切の取材に応じていないし、裁判の傍聴にも行っていない。
そんな私の態度を非難する声があるのは、知っているが、私はマスコミに不信感を抱いているし、被告に対しては、例え死刑になっても飽き足らない感情を抱いている。
「この手で八つ裂きにしてやりたい。」
としか思ってないのだ。しかし、それは現実には叶わないし、叶ったとしても、私にはもう出来ない。倫を殺人犯の子供にして、一人ぼっちにすることは絶対に出来ないのだから。
だとしたら、あの男の顔を見て、無用に心を掻き乱されることに、なんらの意義も感じられない。それが私の今の心境だ。
先日、倫が恐れていた言葉を口にした。周りを見ていれば、当然抱く疑問。彼が喋り始めてから、まだそんなに経っていないけど、きっと彼は生まれてから、ずっと聞きたくてウズウズしていたに違いない。
「パパは今、どこにいるの?」
無邪気に、でも真っ直ぐに聞いて来た息子の顔を見て、私は一瞬言葉に詰まった。必ず来る時だと覚悟も想定もしていたはずなのに・・・。
「パパは、倫のパパはね、お星さまになったの。だから凄く遠い所にいるんだ。でも、倫のことをいつも見守ってくれてるんだよ。」
結局、そんな言葉しか出て来なかった。
「ふ〜ん。」
わかったようなわからないような顔で倫は頷くと、でもそれ以上のことは聞いて来なかった。「なんで?」とも、「じゃいつ会えるの?」とも・・・。
ひょっとしたら、幼心にこれ以上聞いてはいけないと思ったのかもしれない。私は思わず倫を抱き上げ、強く抱きしめていた。
私から夫を、倫から父親を奪った男の裁判は、今も続いている。
殺人罪を適用したい検察側と、危険運転致死傷罪を主張する弁護側が真っ向から対立して、結審までにはまだ時間が掛かりそうだ。
死刑になりたくて犯行に及んだと、当時うそぶいていたはずの男は今、生への執着を露わにして、弁護士の影に隠れて、何も言わない。そして、法に守られてぬくぬくと生きている。
何という理不尽極まりない現実。このことを思うと、私の身体は持って行きようのない怒りと感情で張り裂けそうになる。
あの事件は今でもマスコミに取り上げられることがあり、被害者の遺族の中には彼らの取材に積極的に応じ、裁判の節目には記者会見をしている人たちがいるが、私は一線を画して、一切の取材に応じていないし、裁判の傍聴にも行っていない。
そんな私の態度を非難する声があるのは、知っているが、私はマスコミに不信感を抱いているし、被告に対しては、例え死刑になっても飽き足らない感情を抱いている。
「この手で八つ裂きにしてやりたい。」
としか思ってないのだ。しかし、それは現実には叶わないし、叶ったとしても、私にはもう出来ない。倫を殺人犯の子供にして、一人ぼっちにすることは絶対に出来ないのだから。
だとしたら、あの男の顔を見て、無用に心を掻き乱されることに、なんらの意義も感じられない。それが私の今の心境だ。


