あなたを愛しています

「し、詩織さん・・・。」


まさかの詩織さんの登場で、慌てて姿勢を正した私に


「入院患者が、そんなしゃちこばらないでよ。」


苦笑いしながら、詩織さんはベッドに近付いて来る。慌てて、咲が席から立ち上がろうとするのを手で制すると


「出勤途中で倒れたって聞いて心配してたら、まさかのおめでた発覚っていうから、昼休みに飛んで来たらさ・・・ねぇ瞳、私に迷惑が掛かるとか、会社辞めるとか、本気で言ってるの?言っとくけどね、私はあんたに同情して呼び戻したわけでもないし、誰でもよかったわけでもない。瞳だから、また一緒に働きたいと思ったし、会社もあんたの力を認めて、私の推薦を承諾したんだよ。」


とやや呆れ顔で言う。


「まぁ、妊娠は正直、想定外だったけど、でもそれであんたの評価が下がったり、会社が迷惑に思ったりなんてありえないよ。今どき。」


「でも正社員ならともかく、私は契約社員で、しかもまだ試用期間中です。まともに働けない以上、契約を切られても、文句が言えない立場ですから・・・。」


言い募る私に


「この令和のご時世に、妊娠を理由に契約解除なんてありえないし、もしそんな人でなしの会社なら私はとうに辞めてるし、あんたを呼び戻したりしないよ。」


詩織さんは、言い聞かせるように言う。


「詩織さん・・・。」


「とりあえず、週末はしっかり休んで、週明けからはまた普通に出勤して、身体がしんどい時は、遠慮なく休んで、それ以外の時は全力で仕事に取り組んで。そして時期が来たら、産休、育休に入ればいい。それは認められた権利なんだから。今は契約社員だけど、会社は瞳のこと、正社員候補の準社員だと評価してる。3週間の間に、会社にそう認めさせたんだよ。産休、育休明けたら、会社に席がないなんてことには絶対にならないから。心配しなさんな。」


そう言うと、詩織さんはニコリと微笑んだ。


「ありがとう・・・ございます。」


詩織さんの心遣いが嬉しくて、私は思わず涙ぐむ。


「泣くな、瞳。私がメソメソするのもされるのも嫌いなの、知ってるだろ?」


「は、はい。」


慌てて、涙をぬぐう私。