あなたを愛しています

私は、混乱している。学が亡くなって、まもなく2ヶ月になろうとしている今日、学から私に荷物が届いた。そんなことがあるはずない・・・だけど伝票に書かれた宛名はやっぱり私だし、差出人も間違いなく学。そしてその筆跡も学の物だ。


訳が分からないまま、私は夢中で包みを開く。包まれていた箱を開けると、そこからまた小さな箱と手紙が出てくる。小さな箱を覆う包装紙には見覚えがある。かつて学が私にプロポ-ズしてくれた時に、差し出してくれた箱と同じ。大きさも、同じ。ということは・・・。


現れたのは、私の誕生石であるサファイヤをあしらった素敵なリング。思わず見惚れてしまったが、すぐに我に返ると、今度は添えられていた手紙を手に取る。


『瞳、ハッピ-バ-スディ。そして5回目の結婚記念日、いかがお過ごしかな?』


最初の一文が目に入り、私はハッとカレンダ-に目をやる。


(私の誕生日&結婚記念日じゃない、今日・・・。)


今更ながらに気付いて、我ながら唖然となる。いろんなことがあり過ぎ、毎日を無我夢中で過ごして来たから、自分の誕生日も結婚記念日も本当に失念してしまっていた。


『ひょっとしたら、大切な日に、俺が一緒にいられなくて、拗ねてるかな?ごめんな。』


(えっ、どういうこと?学はこうなるってわかってて、この手紙を書いたって事?そんなわけ、ないよね。自分が死んじゃうって、わかってたなんて、あるわけないよね・・・。)


私の頭の中は、いよいよ混乱の極みに。思わず手が震え出すのを、必死に抑えながら、私は手紙を読み進める。


『瞳も知ってる通り、俺は今、会社の研修センタ-にいます。昇格試験合格者対象の泊まり込み研修が、まさかの大切な日とバッティング。今年は5年目の記念だし、君にプロポ-ズしたあのレストランで、久しぶりに食事してとか、いろいろ考えてたんだけどなぁ。ホント、ツイてないよ・・・。


でも気を取り直して。瞳、31回目のバースデ-、おめでとう。そして5年目の結婚記念日を迎えられて、本当に嬉しいです。知ってるかな?5年目の結婚記念日は「木婚式」って言うんだって。夫婦が木のように固い絆で1つになるという意味なんだそうって、一所懸命にネットで調べてしまいました。』


(学・・・。)