あなたを愛しています

これ以降、私の記憶は飛び飛びになっている。


ひとしきり泣いた後、病院に紹介してもらった葬儀会社に頼んで、学の遺体を自宅に安置した。そして義両親と両親に、電話でこの残酷な事実を伝えると、もう深夜になろうという時間にも関わらず、血相を変えて、駆け付けて来た。


信じ難い現実に、親たちが驚き、嘆き悲しむ姿の横で、私は学の枕元に茫然と座っていることしか出来なかった。


それから通夜、告別式。私は喪主として、弔問客の応対をし、出棺の際には、参列者の前で挨拶もした・・・らしい。


そして初七日法要も終え、白木の箱に納まった学の遺骨と共に帰宅。しつらえられた祭壇に、夫の遺影、位牌、お骨を安置し、ここまで献身的に私をサポ-トしてくれていた葬儀会社のスタッフを見送った途端、私はその場に倒れ込んだ。


目を覚ますと、心配そうに私を見ている母の顔が見えた。


「お母さん・・・。」


「気分はどう?」


「うん、大丈夫。」


そう言いながら、身体を起こす。


「疲れてたのね。息してるのか、心配になるくらい、よく寝てたわよ。」


「そう・・・ならいっそ、目が覚めなきゃよかった。」


「瞳・・・。」


私の言葉に、母は顔をしかめる。


「さすがにお腹すいたな。」


そんな母の表情に気が付かない風で言うと、私はベッドを降りた。


テーブルに着くと、母が料理を並べてくれる。どうやら私は、ほぼ1日寝込んでいたようで、母は心配して、残ってくれたらしい。


久しぶりの母の手料理だったが、私の箸は進まない。さっきは取り繕うように、お腹すいたなんて言っちゃったけど、本当は食欲なんか全然ない。


「瞳、ちゃんと食べないと。もう何日もまともに食べてないじゃない。このままじゃ、本当に倒れちゃうわよ。」


見かねて母は言うが


「わかってる。」


と答えた私だけど、結局その後、ふた口かみ口、口に運んだだけで箸を置いた。それを見た母は思わずため息をついたが、何も言わなかった。