ライアンさんと会う約束をしたあと、私はキャリーバックに荷物をまとめた。

これからしばらく、ライアンさんと行動を共にすることになる。

私はライアンさんの監視のため。

ライアンさんは、私に退魔師について色々と教えるつもりらしい。



待ち合わせ場所は、駅近くのファミレスだった。

約束の時間の5分前に店にはいると、中にはもうライアンさんがいた。

ライアンさんの金髪は目立つので、すぐに分かる。



私はライアンさんの座っているテーブルに近づくと、軽くお辞儀をした。



「あらためて、こんにちは。雨夜月乃です」

「ライアン・ブラックだよ。これからしばらく、よろしくね」



ライアンさんは茶目っ気をこめてウインクをしてみせた。

私は軽く肩をすくめて、彼の正面に座る。



「さっそくで悪いんだけど、月乃さんが本当に霊力を持っているか確認したいんだ。それで、申し訳ないけれど、手に触れても構わないかい?」

「手ですか? かまいません」



私は頷いてライアンさんに右手を差し出した。

ライアンさんは手相を見るみたいに私の手を握る。

と、ライアンさんが握った場所が白く光ってみえる。

いつも見えているオーラが、ライアンさんの手を伝って私の中に流れ込んでくるみたいだ。



「オーラが流れてきてる」
「オーラ?」



私が呟くと、彼は不思議そうに首を傾げた。



「はい。私、人の心の色みたいなのが見えるんです。今、白いオーラがライアンさんの手から私の方に流れてくるのが見えました」

「僕が今流したのは、僕の霊力だよ。なるほど、君は目が良いんだね。力の流れを目で見れるんだ」


彼はそういうと、私からぱっと手を離した。