太陽くんが居なくなって、私は自分のできる範囲で太陽くんの行方を捜した。
だけど私なんかの力じゃあ全然手掛かりはつかめなくて、太陽くんのマンションに残っていたはずの荷物も、私が学校に行っている間にいつの間にかなくなっていた。
太陽くんがいなくなって、最初の数日は学校がざわついていた。
私は太陽くんの彼女だって認識されていたから、何か知らないかって色んな人に声をかけられたけど、まともに答えられる精神状態じゃあなかった。
ロクな返事をしないでいると、いつの間にか私は太陽くんに捨てられた彼女という扱いになって、周囲が妙に気遣ってくれるようになっていた。
捜索願も出されたみたいで、警察が学校に来るのも見たし、私も色々と質問された。
だけど、太陽くんが悪魔だなんて言えるはずもないし、当たり障りのない答えを返して、何も知らないということしかできなかった。
実際、私は何も知らないのだ。
知っていたら、真っ先に太陽くんに会いにいっている。
だけど、太陽くんはなんの手掛かりも残してくれなかった。
――いや。
たったひとつだけ、手掛かりがあった。
私の胸に浮かんだ、蝙蝠の羽の形をした小さな痣。
これは、太陽くんが私に残した印だ。
この痣は、魔力が太陽くんに繋がっているって言っていた。
だけど、私には魔力を感知することはできない。
そもそも、魔力がどんなものかも分からないし、魔力について教えてくれそうな人もいない。
そこまで考えて、私は鞄に入れっぱなしだった名刺の存在を思い出した。
退悪魔協会なんて、訳の分からない組織の名刺をくれた、怪しい外国人。
私は鞄を探って、あの日にもらった名刺を取り出した。
退悪魔協会 司教 ライアン・ブラック
この人は、何か心当たりがあれば、いつでも電話をしろと言っていた。