「彼女じゃないよ」
「え?」
「昨日の子。べつに、彼女じゃない」
「はぁ、そうなんだ……?」
彼女じゃない? あんな親密な雰囲気を醸していたのに?
女の人は裸にYシャツ一枚だったよね。
どうみても事後なあの状況で、彼女じゃないとか――え、じゃあ、遊び?
まさか、まさかの不倫とか?
ひえぇ、知りたくないし、関わりたくない!
私が思わず一歩下がると、春日くんは一歩前に出た。
「前から気になっていたんだけど、雨夜さんって、俺のことを避けているよね?」
「べ、別に避けてなんか……?」
「ふぅん、嘘つくんだ」
「避けてました! めっちゃ避けてました!!」
春日くんの黒いオーラがぶわっと膨らんだ気がして、私は慌てて正直に答える。
うううう、怖い! 春日くんが怖いよ。
早くここから逃げ出したいっ!
私がプルプルしていると、春日くんはにっこりと笑顔を作った。