産まれたときから、俺の世界には絶望しかなかった。
幼いころは、それでもまだマシだった。
家に帰ってこない父さんと、父さんの悪口しか言わない母さん。
それでもまだ、俺には自由があった。幼稚園で友達と遊んだり、好きな玩具を買ってもらったり。
だけど、いつからか俺のすべては母さんに管理されるようになった。
頭が良くなるという、健康に気を使った食事。お菓子やジュースはすべて禁止。
玩具も、俺が欲しいと思ったものはダメで、母さんが選んだものだけが与えられた。
そんな束縛は、俺が成長するにつれて強くなっていった。
仲良くなった友達は相応しくないと遠ざけられ、山のような習い事に自由時間は潰されていった。反抗すれば時に暴力を振るわれ、ときに泣きわめかれ、あるいは脅されて、あの手この手で俺の自由を潰された。
――ぜんぶ、あなたのためなのよ。愛しい太陽。
俺を支配した母さんは、ことあるごとに免罪符のようにそう言った。
それでも、中学になるまではあんな親でもまだ少しは情があった。
母さんのことを、おぞましいとしか思えなくなったのは精通が始まってからだ。
精通が始まったことを知った母さんは、俺の濡れた下着を手に恍惚とした笑みを浮かべた。
――そう、あなたももう男になったのね。
そう笑った母さんの笑みは、とても母親のものとは思えなかった。
初めて襲われたのは、それから半年後のことだ。
その時のことは、もう思い出したくもない。
泣き叫ぶ俺を撮影し、立たないと知れば薬まで使った。
そして、写真や映像を使って脅しては、その後もずっと関係を強要された。