「雨夜さん、ちょっといいかな?」



翌日。笑顔を貼り付けた春日くんに声をかけられて、私の背筋が凍りつく。


太陽くんはさわやかな笑顔なのに、その背後に淀んだ真っ黒なオーラが、逃げるんじゃないぞと私にプレッシャーを与えている気がする。



「ひぃっ、な、なんでしょうか?」

「話があるんだ。一緒に来て欲しいんだけど、つきあってくれるよね?」



つきあってくれない? じゃなく、つきあってくれるよね? だ。
語尾が強い。

あまりにも恐ろしくて、私はぷるぷると首を左右に振った。

嫌だ。春日くんとは関わりたくない。

私が拒絶すると、春日くんの目がスッと細められた。



「来た方がいいと思うよ。バイトのこと、黙っていて欲しいでしょ?」


あ、はい。拒否権は無いんですね。

私は赤べこのように首を何度も縦にふると、黙って春日くんの後ろについて歩いた。