「部屋に居ろって言っただろう」
「だって、あなたが遅いから。その子、知り合い?」
「――いや、知らない子」
春日くんはそう言って、財布から1020円丁度を取り出した。
「はい。レシートは要らないよ」
「あ、ありがとうございました」
どうにかそれだけ返事をすると、バタンとマンションのドアが閉まった。
今のは、春日くんの恋人だろうか。
彼女さんはYシャツ一枚だったし、明らかに事後って雰囲気だったけど――。
あれでも、彼女いないとか言ってなかった?
見てはいけないモノを見てしまった気がして、私は荷物をまとめると、そそくさとマンションを後にした。