「それで、金髪の外人ってなに? どこで会ったの?」

「さっきの公園の近く。信号待ちをしてたら、いきなり声をかけられたの。私から良くない気配がするって」

「良くない気配、ねぇ」



私の言葉を聞いて、太陽くんはすっと目を細めた。



「月乃ちゃんは印を通じて俺と繋がってるから、俺の魔力を嗅ぎつけられたかな。他には何か言ってた?」

「先日、この辺で悪魔を見たっていってた。あと一歩のところで取り逃がしたんだって。それって、太陽くんのことじゃないの?」



私が問いかけると、太陽くんはふぅと大きく息を吐いた。



「まぁ、間違いなく俺だろうね。あの野郎、まだこの辺をウロウロしてるんだ」

「太陽くんが学校を休んだ日のことだよね。何があったの?」

「大したことないよ。出会いがしらに攻撃をぶっ放されただけ」



それは十分、大したことある出来事なんじゃあないだろうか。

攻撃される機会なんて、普通はありえない。



「そういうのって、よくあるの?」

「よくあるって程でもないらしいよ。俺達を殺せる力を持つ人間って、そう多くないらしいから」

「らしい?」



らしいと、伝聞で話す太陽くんに疑問を持つ。

どういうことかと問いかけると、太陽くんは軽く肩をすくめた。



「俺が退魔師に会ったのは、あの外人が初めて。ほとんどは紫苑さんから聞いた話」

「そうなの? 太陽くんはあまり詳しくない?」

「俺が悪魔になったのは、1年前だから。まだまだ未熟なんだよ」

「え? 1年前に悪魔になった?」




思いがけない言葉に、私は目を瞬いた。

悪魔になったって、どういうことだろう。

太陽くんは生まれたときから悪魔だったんじゃないの?