気がつくと朝になっていた。

今日は久しぶりに予定のない休日だ。

いつも土日はゴキゲン弁当のアルバイトを入れているのだけど、今日はお店が月に一度の定休日なのだ。せっかくだから、少なくなってきている洗剤や日用品を買い足したい。

軽く身だしなみを整えて、鞄に財布を詰めて街に出た。目的は徒歩圏内にある大型スーパーだ。

信号待ちをしていると、突然、見知らぬ人に声をかけられた。



「君、ちょっと待って!」



慌てた様子で私を呼び止めたのは、金髪にグレーの目をした外人さんだった。

年の頃は20代後半だろうか? 足が長くて背が高い。

流暢な日本語を話す彼は、私を見てぐっと眉根を寄せた。


「何でしょうか?」


声をかけられる心当たりが無くて、私は困惑した。

どうやら、道を尋ねるような雰囲気でもなさそうだ。

外人さんはちょっと困ったような素振りをしたあと、おずおずと口を開いた。



「君、最近変なことが起きていないかい? たとえば、おかしな夢をみるとか」
「え?」


なんなのだ、この不審者は。

あまりに突然妙なことを言われて、私は警戒を強くする。



「ああ、ごめん、怪しい者じゃないんだ。いや、怪しいといえば怪しいのかな。とにかく、君に危害を加えるつもりとかはなくて、どっちかといえばむしろ逆で!」

「あの、いったい何なんでしょうか」



早口でいいわけのような言葉を並べる男は、はっきりいってかなり怪しい。

警戒を強くする私に、彼はぐっと眉を寄せた。