その日のアルバイトを終えた私は、鞄からマンションの鍵を取り出して帰宅する。

私が住んでいる家は、築何十年って経っている古いマンションだ。エレベーターがなく、3階にある自宅に帰るには階段を上るしかない。

ご当地キャラクターのキーホルダーが付いた鍵を差し込んで、錆びた音のするドアを開いた。

ローファーを脱いで鞄をソファーの上に放り投げてから、リビングに置かれた小さな仏壇の遺影に向かって挨拶をする。


「ただいま、お母さん」


遺影の中の母は、42歳のままの姿で微笑んでいた。