翌日、またしても私はお昼休みに太陽くんに連行された。
断り切れずに昨日と同じベンチまで連れてこられる。
季節がら外で食事をとる人は少ないのか、この場所には今日も他に人がいなかった。
昨日と同じように並んでベンチに腰掛けて、私は太陽くんを仰ぎ見る。
「今日はなんの用なの。体調ならもう大丈夫だよ?」
「はい、これ」
訝しむ私に、太陽くんはポンと四角い包みを差し出した。
無地の紺色のナプキンに包まれたそれは、お弁当箱に見える。
思わず受け取って、私は目を丸くする。
「え、これ、お弁当?」
「見れば分かるでしょ」
「くれるの?」
尋ねると、太陽くんは首を縦にふって肯定する。どうやら本当に私にくれるらしい。
恐る恐る包みを解くと、小さなサイズのランチボックスが現れる。
ふたを開けると、卵焼きや唐揚げといった定番のおかずが詰まっていた。
「おにぎりは持ってるでしょ? だから、おかずだけ」
「あ、ありがとう」
反射的にお礼を言ってから、私はお弁当を見下ろした。
ランチボックスに詰められたおかずは、とても上手にできているが、冷凍食品ではなく手作りに見える。
「これ、まさか、太陽くんが作ったの?」
「そうだけど」
「マジか。女子力高い……」
綺麗に揚がった唐揚げをみて、私は思わずつぶやいた。
そういえば、太陽くんのマンションには立派なキッチンがあった。
あのキッチンで料理している太陽くんを想像すると、なんだかおもしろい。