「俺達って精気が無いと力が保てないんだけど、食事するのも結構大変なんだよ。同じ学校とか身近なコに手を出しちゃうと、すぐにトラブルになって面倒くさいし。毎回、適当な女をナンパして食事してるんだけど、精気の当たりはずれが多くてさぁ。昨日のコとか、ほんっとマズくて最悪」



昨日のコという言葉で、マンションにいた女性を思い出した。

とういうことは、彼女は恋人ではなくナンパでひっかけた女性?

それしても、ナンパしてエッチしておいて不味いとか、最悪は春日くんの方だ。



「身近なコに手を出さないって言うんだったら、なんで私にあんなことしたの」

「だって雨夜さん、普通じゃないし。色々と都合が良いと思ったんだよね」



都合がいいってどういうことだ。

私がぐっと眉根を寄せると、春日くんはキラキラとした胡散臭い笑顔で私の手を掴んだ。



「ねぇ、雨夜さん。俺の恋人(エサ)になってよ」

「は……?」



あまりに突拍子もない言葉に、私は硬直した。

気のせいかな? 今、恋人って――いや、副音声でエサって聞こえたけど。



「雨夜さんの精気ってスゴいんだ。ちょっと食べただけで、満腹になれる。雨夜さんがいてくれたら面倒くさい狩り(ナンパ)から解放されると思うんだ」



ああ、うん。間違いなく、恋人じゃなくてエサだ。

私に専属のエサになれと、彼はそう言っているのだ。