集中すると力が色を帯びて見えてくる。
私が流す霊力は白く、太陽くんの中心には黒くて大きな塊がある。
太陽くんの中心にある塊は、いつも太陽くんの後ろに見えていたオーラの色をしている。
黒くて深い、闇の色。きっと、太陽くんが悪魔だからってだけじゃない。
彼がいままで抱えてきた負の感情が、太陽くんの中心に蟠っているのだ。
私は今まで、人の心の色を見ることしか出来なかった。
その人が暗い気持ちを抱えていると分かるのに、何をすることもできなかったのだ。
だけど、私は、太陽くんの闇を払いたい。
太陽くんに笑ってほしい。幸せになって欲しい。
未来を望むことさえできないなんて、悲しい顔で笑わないで欲しい。
夢を持って、望む未来を手に入れてほしい。
いままでいっぱい苦しんだ分、いっぱい幸せになって欲しい。
沢山の願いを込めて、私はありったけの力を流す。
どうか。どうか、太陽くんが幸せになりますように。
白い光が太陽くんの中心に流れ込むと、ぐるぐると渦を巻いて、暗い闇と混ざり始めた。
「ぐっ……あああっ……!!」
太陽くんのくぐもった声が聞こえる。額にじんわりと脂汗が浮かんだ。
「動揺するな、流す力を強くしろ!」
紫苑さんの叱責するような声が聞こえて、私はもっと力を込めた。
ぐるぐるとらせん状に回っていた白い光は、少しずつ大きくなって闇を包み込んでいく。
私は身体の中に残っているありったけの力を太陽くんに注ぎ込む。
太陽くんの中の黒い色が見えなくなって、カッと光が弾けた気がした。