気が付くと、私はピンク色の部屋の中にいた。
四方すべてがピンク色に塗られた、何もない部屋だ。
いったいどうしてこんな場所にいるのか思い出せなくて、制服姿でポツンと中央に立っていると、宙を切り裂いて春日くんが現れた。
「やぁ、雨夜さん。さっきぶり」
「か、春日くん、いったい何がどうなってるの!? ここはどこ!?」
私はパニックになって春日くんに食ってかかった。
この意味の分からない現象は、彼が関係しているに違いない。
「ここは俺の世界。俺が作った夢の中だよ」
「夢?」
「うん。現実の君はさっき眠っちゃって、俺が保健室に連れていったから安心して」
いや、全然安心できないんだけど。
こんなリアルな夢なんて普通じゃないし、学校でいきなり眠くなったのも意味が分からない。
「春日くんは、何者なの?」
本当なら聞きたくなかった。関わりたくなかった。
だけど、こんなことをされたら、聞かずにはいられない。
だってこんなの普通じゃない。オーラが見える私よりも、春日くんは圧倒的に異常だ。