後片付けを終えて、大きく息を吐く。

あとは月乃ちゃんの寝顔でも眺めていようと思ってベッドに近づくと、マンションの入り口のあたりに嫌な気配を感じて、俺は玄関へと向かった。


マンションを出て、エレベーターで下へと降りる。

すると、予想した人物がマンションの入り口に立っていた。



「昨日の今日で、よく顔が出せましたね」



いけ好かない外国人の姿を見つけて、俺はそう吐き捨てる。


「俺一人なら簡単に殺せると思いました? けど、そう甘くはありませんよ」


まだ万全ではないとはいえ、昨夜は月乃ちゃんに十分精気を分けてもらったのだ。

昨日とはくらべものにならないほど、身体の調子が良い。

最悪の場合、月乃ちゃんを連れて逃げるくらいはできるだろう。


俺が退魔師を睨みつけると、彼は困ったように肩を竦めた。


「そう殺気立つな。君を狩りに来たわけじゃない」

「じゃあ、何しに来たんですか。まさか、彼女を連れ戻しにじゃないでしょうね?」



だとしたら、絶対に許さない。

そういう気持ちを込めて言うと、退魔師は苦い顔をした。