「はぁ……月乃ちゃんだ」

太陽くんはしみじみとそう呟いて、私の存在を確認するみたいに抱きしめる腕に力を籠める。


「会いたかった」


太陽くんはズルイ。

私を置いて行ったのは太陽くんなのに、そんな風に言うなんて。



「私だって、会いたかったよ。ずっと会いたかった」

「俺を探そうとしてくれたの?」

「探したよ。手掛かりになればって、ライアンさんにも連絡して――んっ!?」



私が言いかけた瞬間、私の言葉を遮るように太陽くんがキスをした。



「君の口から、他の男の名前を聞きたくない」


拗ねたようにいう、太陽くんが可愛くて仕方がない。


「それは、ヤキモチ?」

「ヤキモチだよ。確かに、月乃ちゃんを置いて行った俺が悪かったし、俺を探すためだったのかもしれないけど、学校も行かずに、街からもいなくなったって知って、どれだけ心配したと思ってんの。――しかも、あんな男と一緒にいたなんて」


太陽くんは私を責めるみたいに、ぎゅっうぎゅうと私の身体を締め付ける。

流石にちょっと痛くなって、私は太陽くんの胸を叩いた。



「いなくなって心配したっていうなら、私だって心配したんだから! もう二度と……会えないかと思って……」


太陽くんが居なくなったときの感情を思い出して、ぎゅっと胸が痛くなる。


「太陽くんの馬鹿! そんな風に心配してくれるなら、側にいてよ。ヤキモチを焼くくらいなら、離さないで……」

「……うん。ごめんね」



ぽろりと零れた涙を、太陽くんの唇が拭ってくれた。



「離れて思い知ったよ。俺、本当に月乃ちゃんがいないとダメみたいだ。もう、君がいないと死んじゃう」


太陽くんが甘えるみたいに、私の肩に頭を置いた。

その様子がなんだか弱々しくて、心配になる。



「太陽くん、本当に大丈夫?」

「大丈夫じゃない。だから月乃ちゃん、俺にキスして」



強請られて心臓がドキンと跳ねる。

人工呼吸的な意味だと理解して、私はこくんと首を縦に振って、太陽くんの頬に手を添えた。

ゆっくりと唇を合わせると、口内に太陽くんの舌が侵入してくる。

太陽くんは貪るように私の口内を犯して、最後にじゅっと私の唾液を吸った。



「はぁ、月乃ちゃんの味だ……美味しい」



太陽くんはうっとりとした顔で、もう一度私にキスをした。


「こんなんじゃ、全然足りない。月乃ちゃんを、もっと俺にちょうだい?」