3日目は、霊力を使った術の基礎訓練だ。

まず教えてもらったのが霊力を使った護身結界の張りかただった。力を薄い膜状に伸ばして、全身を覆う。

護身結界をはっていれば、悪意のある術を跳ね返したり、簡単な攻撃をはじいたりできるそうだ。

できるだけ、常日頃から結界を張るように指導されたので、その日から私は護身結界を張った状態で日常生活をおくることになった。



この数日間、ライアンさんは寺から出なかった。

太陽くんを探しに行くような素振りもなく、さらには仕事に行く様子もなかった。



「ライアンさんって、お仕事とかされていないんですか?」

「僕は退魔が仕事だから。僕らの組織はNPOみたいなもので、悪魔の被害にあった人たちや、僕らの活動に理解ある人達の寄付で成り立ってるんだ。生活費とかはそこから出てるし、退魔の依頼がなければ暇なんだよ」



心配になって尋ねてみたら、そんな返答が返ってきた。



「退魔師は常に不足してるからね。月乃さんも、就職先が見つからなかったらやってみるかい? 歓迎するよ」



冗談交じりに勧誘されるが、あいにくそんな組織に所属するつもりはない。

就職は心配だけど……まぁ、なるようになるだろう。

高校中退になったとしても、悪魔を殺すような仕事に就きたくはない。