「おー、なんだ矢追」


「なんで僕が、プールそうじなんてやるのさ」


「おいおい、指名されたんだぞ。 もっとそこは喜べー」



もうこの話はこれで終わり、というばかりに。


熊野先生は黒板の字を消しはじめていくから、俊は腕を組んでもっと不満そうな顔になる。



でも、俊と一緒にできるなら。
プールそうじも案外悪くないのかも。



そう考えた私は、こっそりと俊に声をかけた。



「がんばろうね、俊」


「……結々がそう言うなら」



あきらめたような顔をして、俊は静かにまた椅子に腰をおろした。



よかった、納得してくれたのかな。