「よぉし、分かった。そんなにやりたくないなら、先生が指名しよう」
ニヤリと口角を上げる熊野先生に、クラス中がいっきに血の気の引いた顔になっていく。
どうか指名されませんように……っ。
そう心の中でひっしにお祈りをしながら、なるべく熊野先生と目が合わないようにするけれど……。
「矢追、西花………」
目を合わせない作戦は、 あっけなく失敗に終わってしまう。
……えぇ!?
な、なんで、私まで!?
「ちょっと先生」
後ろでガタッ、と椅子から立ち上がる俊。
それに対して、熊野先生はニンマリとした笑みで見つめ返す。