ばっと顔を上げれば……
「俊!」
私のイヤホンを自分の片耳につけながら、 ほほ笑む俊が立っていた。
「いつも結々さぁ、 駅に来るの早すぎだし」
「えへへ……」
少しあきれた表情を見せながらも、 俊はとなりに座った。
距離が近いせいか、 ふわふわと香る柔軟剤。
俊らしい、さわやかな香りがする。
「さ、始めるよ」
「……うん、」
俊の言葉に、耳からイヤホンを外してウォークマンをしまう。
始めるというのは、私がほかの男の子とやり取りをしたりしてないかのチェックだ。
嫉妬深い俊は、これを朝からかかかさずやっている。



