つり革に手を伸ばすと、後ろからほんのりと優しい匂いが、ふわーっと香ってくる。 これって……もしかして。 すぐ後ろに俊が立ってたりするのかな? 気まずくて、とても後ろを向ける状態じゃないけど……。 そんなことを心のなかで思っていると、 「……きゃっ!」 突然、車内がぐわんと大きく揺れた。 その衝撃で、私も大きく体勢をくずし、つり革を手からぱっと離してしまった。 前の人に倒れるのを予知して、目をつよく閉じた時。