明日は午前中、書道部の作品を展示している教室で受付をしなければならない。

『午後からなら大丈夫だよ。楽しみにしてるね』

そうすぐに返信をした。

「奈央~今日一緒にまわろう!」

学校に着くとすぐに、いつもよりテンションの高い澪が話しかけてきた。澪は行事ごとに熱いタイプだから。

長い髪をポニーテールにして、黄色いクラスTシャツもうまく着こなしている。

「あー澪ごめん。結人くんと先に約束しちゃったんだ」

「えー!それならしょうがない!奈央と大野が仲直りできたんだったらよかった!」

「これからもずっと、仲良くできたらいいんだけどね」

「大野は何気に優しいから大丈夫だよ」

何気じゃない。結人くんは人の気持ちに敏感で、細かいことにも気づいてくれる優しい人だ。

そんな話をしているうちに担任がやってきて、文化祭前のホームルームが始まった。


午前中、書道部の展示室の受付をしていると結人くんが来てくれた。

狭い教室だけど一つ一つの作品をじっくり見ていってくれた。

「奈央の作品、俺好きだな。書道とかはよくわかんないけど、奈央の作品は心がこもってる感じが伝わってくるよ。あと、奈央が書く字には優しさがにじみ出てて、そこも良いね」

結人くんは素直に感じたことを伝えてくれた。

「……ありがとう。でも私なんかまだまだで……って言っても、この文化祭が終わったらもう引退だから、今さらか」

「趣味で書いたらいいじゃん。こんなに頑張ってきたのにやめちゃうのはもったいないよ。俺は続けててほしい」

……嬉しかった。

自分の好きなこと、頑張っていることを自分の大切な人が褒めてくれて。

受付を彩月と交代して結人くんとお店をまわる。